きもの文化ノート 本文5-2
きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。
第5章 白生地
第2節 種類、用途、特徴
1 織りの三原則
織物の基本となるのは、平織(平組織)、綾織(綾組織)、繻子織(繻子組織)の三つで、これを織物の三原組織とよびます。これに捩り織(捩組織)を加えた四種類が織物の基本となります。
組織点 経緯の糸が交差する点をいいます。
平織 経糸と緯糸が1本ずつ交互に交差させる織り方です。精好、紅梅織、しじらは平織で構成されます。紅梅織は絹や綿の素材を用いて格子状に一定間隔で太い糸を織り込んでいます。
綾織 経糸と緯糸が斜めにずれて、表に浮いてクロスしています。最も簡単な組織は三枚綾です。
繻子織 繻子織(しゅすおり)は組織点が連続せず、一定の間隔をおいてある織物です。経糸5本と緯糸5本越で組織する5枚綜絖で織る「5枚繻子」が繻子織の最小単位です。8本ずつ使用する八枚繻子もあります。平織や綾織りに比べると、表面が滑らかで光沢がありますが、強度は劣ります。代表的なものに綸子や緞子などがあります。
捩り織(もじりおり) 地経糸と捩り経糸が一組になり、捩り経糸は緯糸1本または数本ごとにその位置をかえて組織し、緯糸と緯糸の間に隙き間を作った織物です。地経糸は綜絖に通し綜絖の上下運動によって通常のように開口します。他方捩り経糸ははじめ普通の綜絖に通し、つぎに地経糸の左右にその位置を転じ、さらに特殊な半綜絖に通して、地経糸の左右にその位置を転じて製織します。絽、紗、羅などの夏用の生地です。紗紬や羅は夏の帯の素材として使われます。
2 白生地の長さ・幅・重さ
白生地は友禅や江戸小紋など後染めの染織品に用いられます。
留袖や八掛付きの訪問着を染めるのに使う生地の長さは約16mです。
袷の付け下げの表地に使用される一般的な白生地の長さは約12mです。
3 縮緬
染めのきものの生地で代表的なものです。強い撚りをかけた生糸を緯糸に用いて、生地にシボという凸凹を出しているのが特徴です。撚りの方向には、S撚り(右撚り)とZ撚り(左撚り)があります。一越縮緬は右撚りと左撚りの強撚糸を1本ずつ交互に織っています。古代縮緬、三越縮緬、紋意匠縮緬などがあり、最もシボが大きいのは古代縮緬で右撚り、左撚りの強撚糸を2本ずつ交互に織っています。鶉縮緬(うずらちりめん)は古代縮緬の一種で、鬼シボとよばれる凸凹の大きなシボが特徴です。鬼縮緬とも呼び小紋や染め帯などに向きます。
精華(パレス)は細糸で密に織られた薄地の縮緬です。緯糸に壁糸を使って織られ、小さなシボがありますが縮みにくく、長襦袢、八掛、比翼などに使います。
壁糸を用いてシボを表した変わり縮緬(壁縮緬)もあります。緯糸にスプリング状の性質がないので、折れ曲がった時の復元力弱く、生地のしわが取れにくくなります。
4 羽二重(はぶたえ)
縦緯ともに撚らない生糸を使った織物が羽二重です。撚らない生糸を使うため、きめが細かく光沢があり、滑らかで肌触りのよいのが特徴です。羽二重は生糸2本を引き揃え、つぼ糊を施して1本としたものを筬1羽に2本ずつ引き込んで経糸とします。緯糸は数本の生糸を引き揃えにしたものを緯管に巻いて水に浸した湿し緯(しめしよこ)を、シャトルに入れ、ぬらしたままで織り込みます。
厚地の羽二重で、経糸を密にして太い緯糸を打ち込んで、横方向の畝が表れた生地を塩瀬といいます。半衿や帯地によく使用されています。
5 綸子
緯糸、経糸ともに撚らない糸を使用し光沢のある生地です。艶やかな地紋が浮き出ているのが特徴です。
6 朱子織
朱子織(繻子織)で織られた布は、柔軟性があり、滑らかですべりが良いのが特徴です。
7 捩り織(もじりおり)
隙間のある織物です。絽、紗、羅などの夏用の生地です。紗紬(しゃつむぎ)や羅は夏の帯の素材として使われます。
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