機の音 はたのね

きものに関連する様々なことを書き残すブログです。

きもの文化ノート 本文6-5

きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。
 
第6章 小物類
 第5節 肌着類
  肌襦袢(はだじゅばん) 肌に直接着用し、肌の汚れや汗を取るための下着です。

  裾除け(すそよけ) 腰に巻き付けて使うもので足さばきのよい素材を用います。

蹴出し(けだし)ともいいます。

  伊達締め(だてじめ) 女性が長襦袢やきものの前を合わせて締める幅の狭い単(ひとえ)帯です。

  腰紐(こしひも) 着付けに使う紐です。生地として普通はメリンスが用いられますが絹布もあります。幅は3cmから5cm程度が適しています。

  浴衣下(ゆかたした) 浴衣に透け感がある場合は肌襦袢裾除けが一緒になったものを着ると安心です。

  帯枕(おびまくら) 帯を結ぶときにお太鼓の形を整えて締める道具です。一般的に若い人は高さのあるものを使うとされます。

  帯板(前板) 帯を締めるとき、胴周りにしわができないように前に挟む板状のもの。前板ともいいます。布製やプラスチック製のほか、ベルト付きのものもあります。

 

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きもの文化ノート 本文5-2

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第5章 白生地
 第2節 種類、用途、特徴

  1 織りの三原則

    織物の基本となるのは、平織(平組織)、綾織(綾組織)、繻子織(繻子組織)の三つで、これを織物の三原組織とよびます。これに捩り織(捩組織)を加えた四種類が織物の基本となります。

    組織点 経緯の糸が交差する点をいいます。

    平織 経糸緯糸が1本ずつ交互に交差させる織り方です。精好、紅梅織、しじらは平織で構成されます。紅梅織は絹や綿の素材を用いて格子状に一定間隔で太い糸を織り込んでいます。

    綾織 経糸緯糸が斜めにずれて、表に浮いてクロスしています。最も簡単な組織は三枚綾です。

    繻子織 繻子織(しゅすおり)は組織点が連続せず、一定の間隔をおいてある織物です。経糸5本と緯糸5本越で組織する5枚綜絖で織る「5枚繻子」が繻子織の最小単位です。8本ずつ使用する八枚繻子もあります。平織や綾織りに比べると、表面が滑らかで光沢がありますが、強度は劣ります。代表的なものに綸子や緞子などがあります。

    捩り織(もじりおり) 地経糸と捩り経糸が一組になり、捩り経糸緯糸1本または数本ごとにその位置をかえて組織し、緯糸緯糸の間に隙き間を作った織物です。地経糸は綜絖に通し綜絖の上下運動によって通常のように開口します。他方捩り経糸ははじめ普通の綜絖に通し、つぎに地経糸の左右にその位置を転じ、さらに特殊な半綜絖に通して、地経糸の左右にその位置を転じて製織します。絽、紗、羅などの夏用の生地です。紗紬や羅は夏の帯の素材として使われます。

  2 白生地の長さ・幅・重さ

   白生地は友禅や江戸小紋など後染めの染織品に用いられます。

   留袖や八掛付きの訪問着を染めるのに使う生地の長さは約16mです。

   袷の付け下げの表地に使用される一般的な白生地の長さは約12mです。

  3 縮緬

   染めのきものの生地で代表的なものです。強い撚りをかけた生糸を緯糸に用いて、生地にシボという凸凹を出しているのが特徴です。撚りの方向には、S撚り(右撚り)とZ撚り(左撚り)があります。一越縮緬は右撚りと左撚りの強撚糸を1本ずつ交互に織っています。古代縮緬三越縮緬、紋意匠縮緬などがあり、最もシボが大きいのは古代縮緬で右撚り、左撚りの強撚糸を2本ずつ交互に織っています。鶉縮緬うずらちりめん)は古代縮緬の一種で、鬼シボとよばれる凸凹の大きなシボが特徴です。鬼縮緬とも呼び小紋や染め帯などに向きます。

   精華(パレス)は細糸で密に織られた薄地の縮緬です。緯糸に壁糸を使って織られ、小さなシボがありますが縮みにくく、長襦袢、八掛、比翼などに使います。

   壁糸を用いてシボを表した変わり縮緬(壁縮緬)もあります。緯糸にスプリング状の性質がないので、折れ曲がった時の復元力弱く、生地のしわが取れにくくなります。

  4 羽二重(はぶたえ)

   縦緯ともに撚らない生糸を使った織物が羽二重です。撚らない生糸を使うため、きめが細かく光沢があり、滑らかで肌触りのよいのが特徴です。羽二重は生糸2本を引き揃え、つぼ糊を施して1本としたものを筬1羽に2本ずつ引き込んで経糸とします。緯糸は数本の生糸を引き揃えにしたものを緯管に巻いて水に浸した湿し緯(しめしよこ)を、シャトルに入れ、ぬらしたままで織り込みます。

   厚地の羽二重で、経糸を密にして太い緯糸を打ち込んで、横方向の畝が表れた生地を塩瀬といいます。半衿や帯地によく使用されています。

  5 綸子

   緯糸経糸ともに撚らない糸を使用し光沢のある生地です。艶やかな地紋が浮き出ているのが特徴です。

  6 朱子

   朱子織(繻子織)で織られた布は、柔軟性があり、滑らかですべりが良いのが特徴です。

  7 捩り織(もじりおり)
    隙間のある織物です。絽、紗、羅などの夏用の生地です。紗紬(しゃつむぎ)や羅は夏の帯の素材として使われます。
 
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きもの文化ノート 本文4-3

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第4章 糸の種類
 第3節 麻
  1 麻
    通気性、吸湿性、速乾性に優れています。さらりとした肌触りが特徴で、水には強いですが、シワになりやすいのが難点です。現在きものに用いられるのはほとんどが苧麻かラミーです。

  2 麻糸のできるまで

    苧麻の糸作りは「手績み(てうみ)」と呼ばれ、一反を作るのに3か月以上かかります。

  3 青麻

    イラクサ科の多年草・苧麻の靭皮(じんぴ)からとったもので、小千谷縮越後上布の原料になる。

  4 ラミー糸

    苧麻の変種で、茎も葉も苧麻より大きいラミーより機械紡績されて糸になります。

  5 糸芭蕉

    沖縄特産の糸芭蕉という植物の幹から取った繊維で織った布が芭蕉布です。原木を倒すのに切り口が平らになるように鎌を使います。きものには糸芭蕉の幹の内側の繊維(ナハグー)を使います。繊維から糸を取る際に、「チング」という玉状にして水に浸します。現在の主な産地は、沖縄本島北部の大宜味村喜如嘉(おおぎみそんきじょか)です。

  6 大麻

    大麻の無害の部分を使用し、繊維は繊細で速乾性や清涼感に加えて、強靭さと柔らかさを兼ね備えた肌触りや保温性の高さを特徴としている。

  
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きもの文化ノート 本文4-1

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第4章 糸の種類
 第1節 絹

  1 蚕

   絹糸は蚕の繭から作られます。蚕の餌は桑の葉です。孵化した蚕は休眠・脱皮を4回繰り返し1ヶ月で5齢の熟蚕になります。蚕は体内でセリシン蛋白とフィブロイン蛋白を作ります。孵化してから20から24日程度で糸を吐き始めて自分を包むように繭を作ります。蚕が繭を作る際、絹のたんぱく質を合成・分泌する分泌腺を絹糸腺(けんしせん)といいます。中部絹糸腺でセリシンを、後部絹糸腺でフィブロインを合成します。蛾になると交尾して約500粒の卵を産みます。

   平均的な白生地1反(13m)を製織するのにおよそ桑葉100kg、蚕3000頭、2800粒の繭が必要です。繭の糸長は1100~1400mあります。

   飼育されている蚕は「家蚕」で他に「野蚕(天蚕)」があります。家蚕は室内で飼育され、野蚕は野外でクヌギなどを食べて育ちます。日本の在来品種である小石丸は皇室で養蚕されています。

   繭の生産量(平成26年度)が多い都道府県は、上位より群馬県福島県、栃木県、埼玉県となります。

  2 生糸のできるまで

   繭から生糸として出荷するまでの全工程を総称して製糸といいます。

   製糸工場での製糸の工程は、乾繭、貯繭、選繭、煮繭、繰糸、揚返し、束装を行い、生糸として出荷します。

   繭を湯に入れてほぐれやすくし、操糸機で糸口から糸を引き出します。

   複数の繭から糸を取り出し、生糸(きいと)にすることを「繰糸」(そうし)といいます。

   太さ(繊度)の単位はデニールで表し、9000mの重さのグラム数にあたります。現在、主に作られている太さは21~32デニールです。生糸は天然繊維で太さが厳密には均一ではないため、太さのだいたいの中間を示す単位に中(なか)も使われます。25中はおおよそ糸の太さが25デニールであることを表します。

  3 生糸

   繊維の鑑別方法の中に燃焼によるものがありますが、絹を燃焼させると毛髪が燃えるような臭いがして、黒色の灰が残ります。

   絹の特徴として保温性、吸湿性・放湿性に優れていて、光沢があります。軽く柔らかく滑らかな風合いを持ちます。

   天然素材で唯一、絹だけが長繊維糸で、繰糸工程を経ています。紡績は短い繊維を集めて糸にする工程で、出来た糸は短繊維糸と呼ばれています。

  4 玉糸

   2頭の蚕が作った玉繭から、座繰りで作る糸です。座繰り糸ともいいます。

  5 野蚕糸

   野生の蚕を「野蚕」といいます。「天蚕」は代表的な野蚕です。

  6 紬糸
   蚕の繭は煮て柔らかくし、中のさなぎを取り除きます。湯の中で袋状に広げて作った袋真綿を引き伸ばして、指先で糸を引き出し、細長い糸状にします。糸の太さは均一ではなく、太い部分と細い部分があります。その中でも手工的に引き出される糸を手紬糸と呼びます。真綿糸ともいいます。

  7 絹紡糸

   繭から取り出される糸のうち生糸には不向きな残糸や、良質な生糸がとれない繭の糸などを紡績して作られた絹糸です。

 
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きもの文化ノート 本文3-8

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第3章 織りのきもの
 第8節 道具
  1 機織り機
    織機 織機は、送り出し・開口・緯入れ・筬打ち・巻き取りの5つの要素から構成されます。開口は、経糸を組織、紋様などにより上下のグループに分けて、緯糸を通す杼口を作ります。緯入は開口によってできた杼口に緯糸を通します。筬打は杼口に通された緯糸を筬で織り前へ打ち込みます。

    地機(じばた) 織り手の腰に経糸(たていと)を張り、座った状態で織ります。

    ジャカード 紋紙を使って模様を織る装置です。フランス人ジョゼフ・マリア・ジャックワールが考案したことが名前の由来です。西陣で錦織や唐織に使用しています。

    空引機(そらびきばた) 一人が機械の上に乗って、綜絖を操作しながら上と下で二人がかりで織ります。ジャカード機が取り入れられる以前まで使用されていました。

    高機 手織り機として多くつかわれています。「綜絖」「千切」「筬」などの装置で成り立っています。

    ドビー機 一本の踏木で何枚でも紋板を送ることにより、綜絖を上下運動させることのできる機織り機。俗に「軽便」とも呼ばれます。

    アットゥシカラペ 日本に現存する地機の中でも、最も古い形の腰機です。北海道のアイヌ民族が、樹木の樹皮から採った糸を織る際に使用します。経糸の端を棒杭に結び付け、もう一方を腰に括りつけて織ります。

    綴れ機(つづればた) 綴れ織を織る織機です。

  2 織り機の道具

    綜絖(そうこう) 織物を織るとき、織機のうちで経糸を上げ下げする装置です。

    杼(ひ) 経糸の間に緯糸を通します。

    大杼(おおひ) 結城紬で地機で織る際に、経糸の間に緯糸を通すために使われる、刀型で大きな形の道具です。

    筬(おさ) 櫛歯状の機織道具です。筬打ちは緯糸を織り口に打ち付ける動作で。機の筬打ちは経糸を一定間隔に揃える役割があります。

    千巻(ちまき) 織られた織物を巻き取るもの。

    千切(ちきり) 整経された経糸を巻きつけたもの。

    踏み木 綜絖枠と繋いで足で上げ下げを操作します。繋ぎ方を変えると柄を変えることができます。

 
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きもの文化ノート 本文7-7

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第7章 歴史
 第7節 安土桃山時代
  1 政治経済

    織田信長豊臣秀吉が中央政権を握っていた時代といえます。

  2 文化・美術

    短期間でも、日本美術史の中でも際立って鮮やかな印象を与えています。

  3 着物
    小袖 胴回りが広く、裾、袖丈、袖幅は短いものでした。もともと下衣だった小袖が一般的な衣服として定着しました。全ての階層が小袖を着るようになりました。

       模様形式も桃山時代に始まり、肩や裾に模様を配した肩裾模様や、小袖全体を段に区切った段替わりなど規則的な模様が流行しました。肩裾模様(肩裾小袖)は模様部と地部の境界線が特徴ある曲線で表されていて、洲浜の形に基づいているともいわれています。

       身分の高い武家女性が夏の礼服として打掛の肩を脱いで腰に巻き付ける腰巻(こしまき)を着用していました。

    被衣(かつぎ) 武家の女性が外出時に頭上に担いだ衣服です。

  
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きもの文化ノート 本文3-3

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第3章 織りのきもの
 第3節 絣
  1 特徴

    文様織りの一種で、文様の図案に従って経糸緯糸、または両方の糸を前もって染めておき、これを用いて織った織物です。

  2 琉球
    南風原はえばる)が産地です。夏用の特に薄くシャリ感のある絹織物を琉球上布といいます。

    絣の模様は、琉球王朝の頃から伝わる「御絵図帳」のデザインを元に作られます。絣がずれないように整経した経糸を糊でかためる「糊付け」、その後、図案を見ながら、文様の部分の経糸を一箇所づつ手で括る絣括り「手結」をします。「巻き取り」は、図案を見ながら経糸を筬(おさ)に通し巻き取る作業です。高機を使用して織られます。

    琉球絣の模様にはハナアーシー(花模様)、イチチブサー(五つ星)、テージクンビーマ(げんこつ形)、トゥィグァー(鳥)、ジンバナ(銭花)、カジマヤーバナ(風車花)、波、水、お金など沖縄の自然や生活道具から生まれています。

  3 十日町明石縮

    経糸に生染め又は半練り染めの細い生糸、緯糸に御召し緯よりも細い強撚糸の練り糸を織った薄地のやや堅い織物で、夏物に用いられます。透綾又は絹上布とも呼ばれ、京都・新潟などで明石縮は生産されます。

 
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