機の音 はたのね

きものに関連する様々なことを書き残すブログです。

きもの文化ノート 本文9-3

きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。

 
第9章 悉皆

 第3節 仕立て
  1 きもの

   きものの裁断図

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   女性のきものの身頃の寸法で、用尺として必要な裁切寸法は、仕立て上り寸法とむら上げと裾縫込みの合計の長さです。

   仕立ての際の裁ち位置の目印にするために、付け下げなどの着尺の耳に墨印(すみじるし)という印を付けます。

   きものの衽の裁ち方のひとつで、衽先を斜めに組み合わせて裁つことを鉤衽(かぎおくみ)裁ちといいます。用布が不足で布の表裏のない両面物のときに使える裁ち方です。

   表地の裏に胴裏を付けず、八掛だけを付ける仕立てを胴抜きといいます。

   透ける生地の場合、居敷当て(いしきあて)とよぶ布を付けて、透けるのを防ぐ仕立てがあります。

   柄合わせで、横段の模様は、一般的にはずらして仕立てます。中心となる柄があれば前身頃、袖、胸元、衽に持ってくるときれいに見えます。ごく細かな模様なら、柄合わせは気にしなくていいです。

   袖丈は体型よりも、身長やきものの種類、好み・用途で長さを決めます。現在は49cmが多いようです。

   衿下の寸法は体型に関係なく、身長の1/2くらいにします。

   合褄幅は身長から割り出しますが、ふくよかな女性の場合は標準寸法より広く、衽幅と同じにすると着やすくなります。

   裄の寸法は体型によって加減します。

   身丈は、仕立てる丈で男性の場合は身長―26~27cmあるいは身長x0.83~0.85cmくらいを基準として体型によって加減します。男性と女性で同じ身長なら、きものの身丈は女性のほうが長くなります。着付ける丈は着丈といいます。

   はと胸の人のきものは衽下がりを短くして、抱き幅を広くすると、胸にゆとりができます。

   袖の形 元禄袖(げんろくそで)は袖丈が短く、袖の丸みが大きいものです。筒袖(つつそで)は袂の部分がなく、筒のような形をした袖です。船底袖(ふなぞこそで)は袖下が船底形の丸みのある形で、袖口に向かうほど袖が細くなっていきます。

   黒留袖は衿など外から見える部分(袖口、振り、裾、衿下の衽)に布を縫い付けて、二枚重ねたように見せかける比翼仕立てにします。さらに簡略化したのが付け比翼です。

   総絞りの着物には、絞りが伸びるのを防ぐためにごく薄い裏打ち布をとじつけます。

   単衣のきものや単衣襦袢などの袖付けの下や身頃の身八つ口の下を補強するために使う縫い方を、閂止め(かんぬきどめ)といいます。

  2 襦袢

   長襦袢の裁断図 関西仕立てで身頃はひとえ、袖だけ袷です。

   

   長襦袢の丈は対丈に仕立てるのが普通です。袖丈はきものに合わせ、衿には半衿を掛けます。

   半襦袢肌襦袢の脇縫いの下の部分を、着やすいように2寸ほど縫い残してあけた部分を馬乗りといいます。

   関西仕立ては別衿を付けた仕立て方で、深く打ち合わせることができる。

   関東仕立ては衿肩回りから裾まで1本の衿を通す仕立て方です。

  3 八掛

   八掛の裁断図

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  4 一つ身

   後ろ身頃の幅が並幅ひと幅で、背縫いがないのが特徴です。背縫いがないので、背中に背守りを付けます。身長100cmぐらいまで着用します。宮参り初着は広口袖上着・下着の二枚襲ねに襦袢袖をつけ、上・下着には共布で幅広い紐をつけます。

  5 三つ身

   三歳の女児は、現代では三つ身または四つ身の寸法のきものを着るのが一般的です。袖と衿をのぞき、身丈の3倍の布で作ることから三つ身といわれます。背縫いがありますが全体の身幅は一つ身と同じくらいなので、一つ身を着る年齢で着ます。裏表が使える生地を用いる両面裁ち、染物など裏表のある生地を用いる片面裁ちがあります。

  6 四つ身
   袖を除いて身丈の四倍の生地を使うことからの呼び名です。三歳から九歳くらいまでの子供用のきものの仕立て方を四つ身といいます。衽は別布でなく、つまみ衽と言って前身頃の一部分をつまんで縫って仕立てます。

   身長や裄の長さに合わせて、肩あげや腰あげをします。

   子供物の付紐は、男は縫い目を下、女は縫い目を上につけます。

   車裁ちとは、子供の和服の裁ち方の一種で、前後の身頃の幅から、ぐるりと衿布を裁つ方法です。仕立て直しで前後の身頃の入れ替えができます。

  7 羽織

   羽織の裁断図

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   単衣の羽織、コートなどの肩の部分には、肩すべりという裏布を付けます。

  

  8 コート

   コートの裁断図(道中着)

   

   

  9 帯

   名古屋帯 胴に巻く部分は半分の幅、お太鼓部分は8寸くらいの並幅に仕立てる「なごや仕立て」が一般的です。胴に巻く部分を半分にしないで、開いて仕立てる鏡仕立て(開き仕立て)という仕立て方もあります。胴に巻く部分、お太鼓の部分に分ける二部式の「付け帯」は旅行などに重宝します。長さは3m60cmが標準です。標準寸法のたれ丈は3尺(114cm)、たれ幅は8寸(30.4cm)です。

   袋帯 長さが約4.2mです。

   丸帯 最も格式が高く、約68cm幅に織ったものを二つ折りにして仕立てます。

   袋なごや帯 仕立て上がりは幅30cm、長さ3m60cmくらいです。

   綴れ帯、献上博多帯、織袋なごや帯はかがり仕立てができます。
 
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