きもの文化ノート 本文9-4
きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。
第9章 悉皆
第4節 洗い
1 丸洗い
丸洗いは、きものを解かずに洗う方法です。工程の最後に仕上げのプレスが行われます。
きもののシミには水性と油性があります。汗は丸洗いで落ちにくいものです。
絞りや色落ちしがちなものは、揮発油洗いをします。
2 洗い張り
きものをほどく前に、表地、八掛(裾回し)、胴裏にそれぞれ渋札(しぶふだ)をつけ、名前や日付、きものの種類などを記入して管理をします。きもの(長着)の表地は1枚の長い布を8枚に裁断してきものの形に縫ったもので、解端縫いによって、元の1枚の形に戻すことが出来ます。解き洗いは解端縫いの状態で洗います。
洗った生地を張る方法には、伸子(しんし)と呼ばれる弓形の竹ヒゴを、反物の幅の両端に刺し、伸子張りという方法で布を張るか、昔ながらの板につける板張りがあります。
解き洗いの後に仕立て直しができます。着る人に合わせて寸法を変える、袖付けと袖口を反対にする、上前と下前を取り換える、裾が切れたら内揚げを出す、掛け衿を裏返す、女性のきものを男性のきものに仕立て直す、などができます。
4 しみ対応
古いしみの場合は、しみを隠す方法がとられます。しみの部分に刺繡で柄を加える、模様を描きたす、箔加工をすることでしみを隠します。
5 染め替え
以下のような染め加工があります。
絵羽模様の柄を糊伏せして、色留袖から黒留袖に地色を替えます。
薄い色無地から濃い色に染め替えます。元の柄を生かして柄伏せなしで、柄の色を変えず、地色を引き染めで替える加工方法を巻きぼかし加工といいます。
淡い色無地の色を抜いて、濃い地色に花柄の小紋に染め替えます。
飛び柄の小紋に加工をして、更紗柄小紋のような雰囲気の違う小紋にします。
模様も含めて全体に地色をかけることを目引き染といいます。
染め替えの可能な生地は、綸子、縮緬などの柔らかいもの、後染の紬などです。
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