機の音 はたのね

きものに関連する様々なことを書き残すブログです。

きもの文化ノート 本文5-4

きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。

  

第5章 白生地
 第4節 柄付け
  1 きもの
     総柄 きものの生地全体に模様が染め出されているものです。

     片身替わり(かたみがわり) 背縫いを境にして、それぞれ違った地色や文様を配したものをいいます。

     首抜き模様(くびぬきもよう) 首の周りから肩、胸にかけて大きな文様を配したものをいいます。

  2 帯

    全通柄(ぜんつうがら) 帯の端から端まで、表側全体を通して模様があるもののことです。

    六通柄(ろくつうがら) 全体のうちの約六割に模様をつけたもののことです。

    太鼓柄(たいこがら) 結んだときに見える、腹紋と太鼓柄の部分のみに模様があるもののことです。
 
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きもの文化ノート 本文3-5

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第3章 織りのきもの
 第5節 麻

  1 越後上布

    素材は苧麻(ちょま)(ラミー糸(麻の紡績糸)も含む)というイラクサ科の草木です。糸は苧麻を爪で裂き、口に含みながらつないだものを使用します。ごく薄手でシャリ感のある地風が特徴です。

  2 八重山上布

    八重山諸島石垣島などで作られる麻織物の総称です。

  3 小千谷縮(おじやちぢみ)
    小千谷縮の素材は多年草・苧麻(ちょま)の靭皮(じんぴ)で、福島県昭和村などで栽培されています。刈り取った茎の青皮をはぐと、美しい靭皮(青苧)だけが残ります。麻を素材とする染織品は全般に水に強いです。

    主な工程は、原料の青苧(あおそ)を細くさいて、唾液を付けながらつないで糸を作り(苧績み(おうみ))、麻糸に強い撚りをかけて糊で固定し、糸繰りをし、絣括り・染織などを経て、織った後、ぬるま湯の中で反物をもんでシボを出し(湯もみ)、雪の上に反物を広げて太陽にあてます(雪晒し)。

    絣括りの手くびりは、図案に沿って印をつけ、綿糸等で固く巻いて防染し、絣模様を作ります。

    雪晒しは、日光に当てると雪の上に発生するオゾンにより漂白され白くなったり、絣の色を落ち着かせるために行います。

  4 宮古上布

    苧麻を使った麻織物です。

  5 会津からむし織

    「からむし」は苧麻とも呼ばれるイラクサ科の多年草です。会津からむし織は福島県会津で織られる麻織物です。

  6 能登上布

    絣技法に板締めを使用しています。
 

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八王子織物と多摩織

2020年8月に東京都八王子市にある八王子織物工業組合に行ってきました。JR八王子駅からバスで5分、織物組合前バス停の前に八王子織物工業組合はあります。

 

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1階に売店があり、様々な絹織物を見ることができます。

 

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スタッフにお聞きしたところ、八王子織物は八王子で発展した織物の総称のようです。現在きもの地は生産がないようで、商品は主にネクタイとスカーフでした。絹100%の国内産とは思えない良心的な価格で、私は黄色のスカーフと端切れを購入しました。

 

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店内の奥に多摩織の紹介スペースがあり、織機も展示されていました。

 

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こちらは手織りの素朴な風合いでした。ワークショップもあるようですが、現在はコロナウィルスの影響で開催を見合わせているそうです。伝統的工芸品だからというのも変ですが、もっと知名度が上がって欲しいと思います。

きもの文化ノート 本文13-5

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第13章 きものを着る
 第5節 着用後
  1 すぐにやる事

    脱いだら和装ハンガーに掛けて一晩ほど陰干しし、湿気を取ります。帯もハンガーにかけて陰干しします。

    シミを見つけたら、糸印を付けて専門家に出すのがよいです。袖口や衿などの部分的な汚れは、しみ抜きや部分洗いをしてもらいます。汚れには水性と油性があって手入れの仕方が異なります。

    足袋のつま先の汚れは、歯ブラシに洗剤をつけてこすって洗います。

  2 畳み方

    和ダンスに収納するときは「本だたみ」で畳み(たたみ)ます。肩回りから衿先までの左右の衿は外表に平らに合わせます。

    模様に折り目を付けたくない時に適した、きものの畳み方は「夜着(やぎ)だたみ」といいます。これは振袖や留袖で金箔や刺繍を施した模様を衽線で折りたくない場合の畳み方です。

    帯は、お太鼓柄・前柄に折り目をつけないようにたたみます。

    羽織をたたむとき、鐶(カン)付の紐は取り外してたたみます。

    袴の畳み方は「石だたみ」と呼ばれます。

  3 保管について
   紋付き 紋付きのきものをしまう場合は、紋の部分に薄紙(うすがみ)を当ててからたたみます。

   防虫剤は一種類に決めて使用します。

   1年に1度は湿気を払うために、虫干しをした方がよいです。風通しのよい、日の当たらない場所に裏返しに掛けて干します。その時に、しみの点検をし、害虫を取り除きます。虫干しは「土用干し」とも言います。

   大事にしているきものはほどいて洗い張りに出し、水洗いしてもらいます。

   帯締めは、和紙で房を巻いておきます。

 

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きもの文化ノート 本文10-1

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第10章 家紋と文様
 第1節 家紋

  1 紋
    格 格の高い順に、染め抜き日向紋(ひなたもん)、染め抜き中陰紋(ちゅういんもん)、染め抜き陰紋(かげもん)、繍紋(ぬいもん)となります。

    繍紋 紋の形に小さなつぶのイボイボで刺繍する縫い方を相良繍(さがらぬい)といいます。小さな点で紋の形に刺繡する縫い方を芥子繍(けしぬい)といいます。

    習慣 女性だけが受け継ぐ「女紋」(おんなもん)の習慣が残っている地方があります。

  2 自然現象紋

    月 天体の中でも月は信仰の対象となり、満月や三日月などが紋に用いられています。

    星 紋の図案として星は五芒星ではなく丸の形で表されます。

    波 波が寄せて返す様子、龍神や水の神、海の神をイメージするところから武士の気質に合うとして家紋とされたとされる。

  3 植物紋

    三葉葵(あおい) 徳川家の家紋で有名です。

    糸輪に覗き菊(いとわにのぞきぎく) 糸輪は模様の周りに黒い輪を施したもので、細い輪を糸輪といいます。下から覗くように菊が配置された紋です。

    五七の桐(ごしちのきり) 安土・桃山時代に活躍した豊臣氏の家紋です。

    細輪に剣桜(ほそわにけんざくら) 桜紋のひとつ。

  4 動物紋

    鷹の羽 鷹の羽をモチーフとした家紋で後醍醐天皇の皇子にあたる菊池武光が使ったことにその起源があるとされています。 

    兎 兎は神聖で瑞祥の動物です。また不老不死、豊穣のシンボルともされ家紋に用いられています。

    鱗 三角形を基本とした文様で連なった形が蛇や龍のうろこに似ていることが由来となっています。

    鶴 左を向き左右の翼を大きく頭上まで丸く広げ、鶴が舞う姿を表現します。

    蝶 優雅に飛ぶ姿が愛され、平氏の象徴としても有名です。

  5 器具紋

    源氏車(げんじぐるま) 公家常用の牛車の俗称でもありました。やがて牛車の車輪をかたどった紋や模様の名前になりました。

    丸に並び杵(きね) 杵は脱穀や製粉の道具です。一般的には餅つきの道具としてしられますが家紋に用いられるのは上下に頭を持つ「手杵(てぎね)」。別名「搗ち杵(かちぎね)」といい「勝ち」に通ずることから武家に好まれて家紋となりました。

  6 建造物紋

    井桁(いげた) 井戸をモチーフとした文様。井戸の地上部分を囲む井の字型の木組み。

    石畳(いしだたみ) 市松文様が家紋の素材となったものです。

    井筒(いづつ) 井戸をモチーフとした文様。井戸の地上部分を囲む井の字型の円形のもの。

    鳥居(とりい) 神社の入り口などにたつ「鳥居」をモチーフにした家紋です。

  7 文学紋

    霞(かすみ) 霧や靄(もや)により遠くの景色がぼやけている様の文学的な表現を家紋に取り入れたもの。

  8 図符紋

    九字(くじ) 九字とは、護身の秘術として唱える呪文で、図柄は縦四線、横五線の格子状のものです。

    源氏香(げんじこう) 源氏物語の54帖の香合せにちなむ家紋です。

    井田(せいでん) 井田に由来する家紋です。

  9 文様紋

    亀甲に花菱(はなびし) 亀の甲羅をモチーフにした亀甲と花菱を描いたものです。

    巴(ともえ) 雷鳴を表しています。(諸説あり) 有馬家の紋を有馬巴といいます。

 

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きもの文化ノート 本文6-5

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第6章 小物類
 第5節 肌着類
  肌襦袢(はだじゅばん) 肌に直接着用し、肌の汚れや汗を取るための下着です。

  裾除け(すそよけ) 腰に巻き付けて使うもので足さばきのよい素材を用います。

蹴出し(けだし)ともいいます。

  伊達締め(だてじめ) 女性が長襦袢やきものの前を合わせて締める幅の狭い単(ひとえ)帯です。

  腰紐(こしひも) 着付けに使う紐です。生地として普通はメリンスが用いられますが絹布もあります。幅は3cmから5cm程度が適しています。

  浴衣下(ゆかたした) 浴衣に透け感がある場合は肌襦袢裾除けが一緒になったものを着ると安心です。

  帯枕(おびまくら) 帯を結ぶときにお太鼓の形を整えて締める道具です。一般的に若い人は高さのあるものを使うとされます。

  帯板(前板) 帯を締めるとき、胴周りにしわができないように前に挟む板状のもの。前板ともいいます。布製やプラスチック製のほか、ベルト付きのものもあります。

 

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きもの文化ノート 本文5-2

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第5章 白生地
 第2節 種類、用途、特徴

  1 織りの三原則

    織物の基本となるのは、平織(平組織)、綾織(綾組織)、繻子織(繻子組織)の三つで、これを織物の三原組織とよびます。これに捩り織(捩組織)を加えた四種類が織物の基本となります。

    組織点 経緯の糸が交差する点をいいます。

    平織 経糸緯糸が1本ずつ交互に交差させる織り方です。精好、紅梅織、しじらは平織で構成されます。紅梅織は絹や綿の素材を用いて格子状に一定間隔で太い糸を織り込んでいます。

    綾織 経糸緯糸が斜めにずれて、表に浮いてクロスしています。最も簡単な組織は三枚綾です。

    繻子織 繻子織(しゅすおり)は組織点が連続せず、一定の間隔をおいてある織物です。経糸5本と緯糸5本越で組織する5枚綜絖で織る「5枚繻子」が繻子織の最小単位です。8本ずつ使用する八枚繻子もあります。平織や綾織りに比べると、表面が滑らかで光沢がありますが、強度は劣ります。代表的なものに綸子や緞子などがあります。

    捩り織(もじりおり) 地経糸と捩り経糸が一組になり、捩り経糸緯糸1本または数本ごとにその位置をかえて組織し、緯糸緯糸の間に隙き間を作った織物です。地経糸は綜絖に通し綜絖の上下運動によって通常のように開口します。他方捩り経糸ははじめ普通の綜絖に通し、つぎに地経糸の左右にその位置を転じ、さらに特殊な半綜絖に通して、地経糸の左右にその位置を転じて製織します。絽、紗、羅などの夏用の生地です。紗紬や羅は夏の帯の素材として使われます。

  2 白生地の長さ・幅・重さ

   白生地は友禅や江戸小紋など後染めの染織品に用いられます。

   留袖や八掛付きの訪問着を染めるのに使う生地の長さは約16mです。

   袷の付け下げの表地に使用される一般的な白生地の長さは約12mです。

  3 縮緬

   染めのきものの生地で代表的なものです。強い撚りをかけた生糸を緯糸に用いて、生地にシボという凸凹を出しているのが特徴です。撚りの方向には、S撚り(右撚り)とZ撚り(左撚り)があります。一越縮緬は右撚りと左撚りの強撚糸を1本ずつ交互に織っています。古代縮緬三越縮緬、紋意匠縮緬などがあり、最もシボが大きいのは古代縮緬で右撚り、左撚りの強撚糸を2本ずつ交互に織っています。鶉縮緬うずらちりめん)は古代縮緬の一種で、鬼シボとよばれる凸凹の大きなシボが特徴です。鬼縮緬とも呼び小紋や染め帯などに向きます。

   精華(パレス)は細糸で密に織られた薄地の縮緬です。緯糸に壁糸を使って織られ、小さなシボがありますが縮みにくく、長襦袢、八掛、比翼などに使います。

   壁糸を用いてシボを表した変わり縮緬(壁縮緬)もあります。緯糸にスプリング状の性質がないので、折れ曲がった時の復元力弱く、生地のしわが取れにくくなります。

  4 羽二重(はぶたえ)

   縦緯ともに撚らない生糸を使った織物が羽二重です。撚らない生糸を使うため、きめが細かく光沢があり、滑らかで肌触りのよいのが特徴です。羽二重は生糸2本を引き揃え、つぼ糊を施して1本としたものを筬1羽に2本ずつ引き込んで経糸とします。緯糸は数本の生糸を引き揃えにしたものを緯管に巻いて水に浸した湿し緯(しめしよこ)を、シャトルに入れ、ぬらしたままで織り込みます。

   厚地の羽二重で、経糸を密にして太い緯糸を打ち込んで、横方向の畝が表れた生地を塩瀬といいます。半衿や帯地によく使用されています。

  5 綸子

   緯糸経糸ともに撚らない糸を使用し光沢のある生地です。艶やかな地紋が浮き出ているのが特徴です。

  6 朱子

   朱子織(繻子織)で織られた布は、柔軟性があり、滑らかですべりが良いのが特徴です。

  7 捩り織(もじりおり)
    隙間のある織物です。絽、紗、羅などの夏用の生地です。紗紬(しゃつむぎ)や羅は夏の帯の素材として使われます。
 
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