きもの文化ノート 本文10-1
きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。
第10章 家紋と文様
第1節 家紋
1 紋
格 格の高い順に、染め抜き日向紋(ひなたもん)、染め抜き中陰紋(ちゅういんもん)、染め抜き陰紋(かげもん)、繍紋(ぬいもん)となります。
繍紋 紋の形に小さなつぶのイボイボで刺繍する縫い方を相良繍(さがらぬい)といいます。小さな点で紋の形に刺繡する縫い方を芥子繍(けしぬい)といいます。
習慣 女性だけが受け継ぐ「女紋」(おんなもん)の習慣が残っている地方があります。
2 自然現象紋
月 天体の中でも月は信仰の対象となり、満月や三日月などが紋に用いられています。
星 紋の図案として星は五芒星ではなく丸の形で表されます。
波 波が寄せて返す様子、龍神や水の神、海の神をイメージするところから武士の気質に合うとして家紋とされたとされる。
3 植物紋
三葉葵(あおい) 徳川家の家紋で有名です。
糸輪に覗き菊(いとわにのぞきぎく) 糸輪は模様の周りに黒い輪を施したもので、細い輪を糸輪といいます。下から覗くように菊が配置された紋です。
五七の桐(ごしちのきり) 安土・桃山時代に活躍した豊臣氏の家紋です。
細輪に剣桜(ほそわにけんざくら) 桜紋のひとつ。
4 動物紋
鷹の羽 鷹の羽をモチーフとした家紋で後醍醐天皇の皇子にあたる菊池武光が使ったことにその起源があるとされています。
兎 兎は神聖で瑞祥の動物です。また不老不死、豊穣のシンボルともされ家紋に用いられています。
鱗 三角形を基本とした文様で連なった形が蛇や龍のうろこに似ていることが由来となっています。
鶴 左を向き左右の翼を大きく頭上まで丸く広げ、鶴が舞う姿を表現します。
蝶 優雅に飛ぶ姿が愛され、平氏の象徴としても有名です。
5 器具紋
源氏車(げんじぐるま) 公家常用の牛車の俗称でもありました。やがて牛車の車輪をかたどった紋や模様の名前になりました。
丸に並び杵(きね) 杵は脱穀や製粉の道具です。一般的には餅つきの道具としてしられますが家紋に用いられるのは上下に頭を持つ「手杵(てぎね)」。別名「搗ち杵(かちぎね)」といい「勝ち」に通ずることから武家に好まれて家紋となりました。
6 建造物紋
井桁(いげた) 井戸をモチーフとした文様。井戸の地上部分を囲む井の字型の木組み。
石畳(いしだたみ) 市松文様が家紋の素材となったものです。
井筒(いづつ) 井戸をモチーフとした文様。井戸の地上部分を囲む井の字型の円形のもの。
鳥居(とりい) 神社の入り口などにたつ「鳥居」をモチーフにした家紋です。
7 文学紋
霞(かすみ) 霧や靄(もや)により遠くの景色がぼやけている様の文学的な表現を家紋に取り入れたもの。
8 図符紋
九字(くじ) 九字とは、護身の秘術として唱える呪文で、図柄は縦四線、横五線の格子状のものです。
源氏香(げんじこう) 源氏物語の54帖の香合せにちなむ家紋です。
井田(せいでん) 井田に由来する家紋です。
9 文様紋
亀甲に花菱(はなびし) 亀の甲羅をモチーフにした亀甲と花菱を描いたものです。
巴(ともえ) 雷鳴を表しています。(諸説あり) 有馬家の紋を有馬巴といいます。
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