機の音 はたのね

きものに関連する様々なことを書き残すブログです。

きもの文化ノート 本文5-3

きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。

 

第5章 白生地
 第3節 糸染め

  1 化学染料

    明治時代にヨーロッパからもたらされ、さまざまな色が手軽に得られるようになりました。

  2 草木染
   染材
    蘇芳(すおう) 赤色を出す際に使われます。

    刈安(かりやす) 黄檗(きはだ) 梔子(くちなし) 鬱金(うこん) 槐(えんじゅ) 黄色を出す際に使われます。刈安はイネ科の植物で太陽光線が強い真夏に黄色の色素を多く含むため、8月末頃収穫します。梔子はアカネ科の常緑低木で、庭木などによく利用されます。

     藍の葉を発酵させた蒅(すくも)を使って藍染を行いますが、蒅は水に溶けないため触媒として灰汁(あく)などを加えて染液を作ります。藍草は東南アジア地域が原産とされます。灰汁の代わりに苛性ソーダやハイドロサルファイトなどを使うこともできます。

    紅花 乾燥させた紅花を水に浸して搾ると、初めは黄色の液が出るが、しぼった花びらに藁(わら)から作ったアルカリ性の灰汁(あく)を加えて揉むと紅色の色素が抽出できます。キク科の植物で山形県最上地方で栽培される紅花が有名です。

    紫草 色素は根から抽出します。根に含まれる成分は、漢方薬としても利用されます。一度では濃い色に染まらず、濃い色に染めるには何度も繰り返し染めます。

    鉱物 縄文時代から朱色の染料に使われていました。

    虫 コチニールは猩々緋(しょうじょうひ)の染料となります。

    山桃、楊梅(やまもも) 江戸時代、茶色の染料を取るために最も一般的に使われた常緑で高木の植物です。樹皮をアルミ媒染で染めると黄色になります。

茜(あかね) 根から色素を抽出します。

    媒染材 植物染料で染める場合に行う「媒染」にて用いられ、色の発色が良くなったり繊維に色を定着させる効果があります。染料が同じでも媒染材を変えると違った色になります。

  3 日本の伝統色

    緑系 青磁色(せいじいろ) 鶯色(うぐいすいろ) 青竹色(あおたけいろ) 木賊色(とくさいろ) 鶸色(ひわいろ) 萌黄色(もえぎいろ) 海松色(みるいろ) 常盤色(ときわいろ) 柳色(やなぎいろ) 若竹色(わかたけいろ)

    青系 納戸色(なんどいろ) 縹色(はなだいろ) 浅葱色(あさぎいろ) 甕覗(かめのぞき) 藍色(あいいろ) 紺色(こんいろ) これらは藍染めの色名です。藍染の色目で一番こいものは縹色です。

       群青色(ぐんじょう色) 青鈍(あおにび) 空色(そらいろ) 

       群青色は顔料です。

       高麗納戸(こうらいなんど) 江戸時代の歌舞伎役者である松本幸四郎が好んだ色。

       舛花色(ますはないろ) 歌舞伎役者である五代目市川団十郎が好んだ色。

    紫系 紫紺色(しこんいろ) 古代紫色(こだいむらさきいろ) 滅紫(めっし けしむらさき) 葡萄色(えびいろ ぶどういろ)

       二藍(ふたあい) 藍と紅花を組み合わせて染めた紫色です。それぞれの染料の濃度によって赤みが強い場合、青みが強い場合など色の幅があります。

    茶系 香色(こういろ) 団十郎茶(だんじゅうろうちゃ) 檜皮色(ひわだいろ) 胡桃色(くるみいろ) 弁柄色(べんがらいろ) 海老茶色(えびちゃいろ)

       路考茶(ろこうちゃ)江戸時代の歌舞伎役者である瀬川路考が好んだ茶色

       黄櫨染色(こうろぜんいろ) 天皇の束帯の袍にのみ用いられた色の事です。

       芝翫茶(しかんちゃ) 江戸時代の歌舞伎役者である中村歌右衛門が好んだ色。

       璃寛茶(りかんちゃ) 江戸時代の歌舞伎役者である嵐吉三郎が好んだ色。

       梅幸茶(ばいこうちゃ) 江戸時代の歌舞伎役者である尾上菊五郎が好んだ色。

    赤系 茜色(あかねいろ) 桜色 臙脂色(えんじいろ) 桃色 緋色(ひいろ) 蘇芳色(すおういろ) 紅色(べにいろ) 猩々緋(しょうじょうひ) 朱色(しゅいろ)

       鴇色(ときいろ) 鴇の風切羽の色を表しているといいます。

    黄系 柑子色(こうじいろ) 刈安色(かりやすいろ) 鬱金色(うこんいろ) 芥子色(からしいろ) 朽葉色(くちばいろ) 山吹色(やまぶきいろ)

    刈安色は奈良時代正倉院文書に登場します。

  
訪問頂きありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。