きもの文化ノート 本文9-1
きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。
第9章 悉皆(しっかい)
第1節 きものの名称
1 女性のきもの
掛け衿
共衿ともいいます。衿の汚れを防ぐために、地衿の上にさらにつけた衿のことで、きものと同じ生地を用います。取り外して洗うことができます。
衽
衿から裾まで、きものの前身頃に接続して縫い付ける半幅の細長い布です。
たれ
帯結びで太鼓の裾に出す部分。お太鼓の大きさとのバランスが重要です。普通は8センチぐらいが適当です。
剣先(けんさき)
衽の上端で、肩山にもっとも近いところで剣のように先のとがったところのことです。
衽下がり
きものの肩山から剣先までの寸法、およびその部分のことです。
身八つ口
きものの身頃の脇の開き、またはその寸法です。
抱き幅(だきはば)
身八つ口の下の位置から衽付けの縫い目までの横幅をいいます。
衿下(えりした)
きものの衿先から褄先までの間のことです。立褄(たてづま)ともよばれます。
衿肩あき
きものの肩に衿をつけるために、あらかじめ裁ってあけたところ。
繰り越し(くりこし)
衿を抜いて着るためにとる肩山と衿肩あき裁ち切り位置との寸法の差、およびその部分のことです。肩の厚みや着装感によって加減します。長襦袢の繰り越し寸法は「きもの」と同寸にします。男物きものには普通繰り越しをつけません。
たれ
帯結びで太鼓の裾に出す部分。お太鼓の大きさとのバランスが重要です。普通は8センチぐらいが適当です。
裄(ゆき)
袖幅と肩幅を加えたものです。
背縫い
左右の後身頃の中央になるところを縫い合わせた縫い目のことです。
脇縫い(わきぬい)
きものの両脇にある、前身頃と後身頃を縫い合わせた縫い目です。
袖付け
袖と身頃が接続する部分のことです。
袖丈
袖の長さの事です。袖山から袖下までの長さです。
衿先
きものの衿の先端の部分のことです。衿裏の下端につける衿先布のことをさす場合もあります。
褄先(つまさき)
褄の先端のことです。衿下と裾の出会う角のことです。
前身頃
きものの前部の身頃のことです。袖と衽の間の、肩から裾までの部分をいい、右前身頃と左前身頃があります。
振り
袖付けから袖下までの、開いた部分のことです。
合褄幅(あいづまはば)
きものの衿先の付け止まりでの衽の幅のことです。
肩山
肩の一番高い部分です。前身頃と後ろ身頃の折り目の山のことです。
裏衿
きものの衿の裏側に使う衿布のことです。
衽上布
きものの裏の衽の上側の布です。
袖口布
きものの袖口の裏につける布のことです。
ふき
袷や綿入れの袖口や裾の裏地を表に折り返し、表から少しのぞくように仕立てた部分です。
おはしょり
着丈に合わせてたくし上げるとできる帯下5~6cm幅の部分です。
八掛【裾回し】
袷のきものにつける裏地です。前後の身頃の裾裏に4枚、衽の裏に2枚、襟先の裏側に2枚つけるので、合計8枚です。現在は袖口にもつけます。表布の素材に合わせて、縮緬には縮緬、羽二重には羽二重、木綿には新モス、紬には縮緬、羽二重、紬などを選びます。色はきものの地色と相性の良い色調やぼかし染めを付けます。
胴裏(どううら)
袷のきものの裾回しの部分を除いた、胴の部分の裏地のこと。仕立てるときは、裾回しと縫い合わせて用います。
居敷当て(いしきあて)
単衣きものの裏側に、裾から90cmくらいのところまで部分的に布を縫いつけたものです。
衿の種類
ばち衿 衿肩回りから衿先へ、自然に幅広くなっています。ゆかたなどの普段着によく使われます。
棒衿(ぼうえり) 背中心から衿先まで同じ衿幅に仕立てます。
2 男性のきもの
合褄幅(あいづまはば)
きものの衿先の付け止まりでの衽の幅のことです。
揚げ下がり
肩山から内揚げまでの部分または寸法です。
人形
男性のきものの袖付け止まりから袖下までの間をさします。
衿の種類
棒衿(ぼうえり) 背中心から衿先まで同じ衿幅に仕立てるものです。ゆかたや子供用のきもの、男物に使われます。
内揚げ
帯の下になる位置に、きものの内側にあらかじめ施しておく縫込み。
3 女性の羽織
返し
裾で後ろ身頃を引き返して、内側に折り込んだ部分のことです。
まち
羽織の前後の身頃の間につける布のことです。
身八つ口(みやつくち)
身頃の脇の開き、またはその寸法です。これは男性の羽織にはありません。
乳(ち)
羽織の紐を通すために衿につけてある、小さい輪のことです。
乳下がり
肩山から、羽織の紐をつける乳の位置までの長さのことです。
羽裏(はうら)
羽織の裏地に用いる布地のことを羽裏といいます。
鐶(かん)
羽織紐を羽織に取り付けるために用いるS字状の金具です。
4 男性の羽織
鐶(かん)
羽織紐を羽織に付けるための金具です。
乳(ち)
羽織の紐を通すために衿につけてある、小さい輪のことです。
乳下がり(ちさがり)
肩山から、羽織の紐をつける乳の位置までの長さのことです。
襠(まち)
羽織の前後の身頃の間につける布のことです。
羽裏(はうら)
袷の羽織の裏地に用いる布地のことです。この部分に凝ることを「裏勝り」といいます。
5 女性のコート
返し
裾で後ろ身頃を引き返して、内側に折り込んだ部分のことです。
羽裏(はうら)
コートの裏地に用いる布地のことも羽裏といいます。
身八つ口
身頃の脇の開き、またはその寸法です。
小衿(こえり)
首のまわりを囲む細長い部分のことです。
上前竪衿(うわまえたてえり)
上前身頃の内側に付く、着たときに上になる部分です。
竪衿下がり(たてえりさがり)
肩山から竪衿の付くまでの間のことです。
コートの衿型
道中衿(どうちゅうえり) きもののような打ち合わせになった衿です。
千代田衿(ちよだえり) 衿付け線がなだらかな曲線になった衿です。
道行衿(みちゆきえり) 衿あきを四角にして、衿を額縁のような形にしたものです。現在多く用いられている形です。
被布衿(ひふえり) 衿肩に丸く仕立てた小衿がついたものです。
都衿(みやこえり) 衿あきを四角にするが、角を曲線にして仕立てたものです。
6 袴
相引(あいびき)
男性の袴では笹ひだの下から裾の脇幅の間のこと、またその長さをいいます。
袴丈(はかまたけ)
ひも下から三のひだまでの間で、前丈や紐下寸法ともいいます。
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