機の音 はたのね

きものに関連する様々なことを書き残すブログです。

きもの文化ノート 本文2-2

きもの文化について自分の参考資料として私見を書いています。本文は順不同に、内容を膨らませながら書いています。参照される方はご了承の上、ご覧ください。なお、無断でのコピーや転載はご遠慮ください。追記・修正箇所は太字・下線にしています。

 

第2章 染めのきもの
 第2節 友禅

  1 特徴

    模様を手描きする本友禅では、模様の色が混ざらないように下絵に沿って糸目糊(いとめのり)を置き、防染して筆で模様を描き染めます。

  2 京友禅

    京友禅は江戸時代に、京都・祇園に住んでいた扇面絵師の宮崎友禅斎が始めたとされています。徳川家の女性だけに染められていた茶屋辻からヒントを得て、糸目糊を使って白い生地に絵画のように模様を描き、染め出す友禅染の技法が生まれたと言われています。染匠(せんしょう)と呼ばれるプロデューサーのもと、製作工程において各分野の専門職が分業で作業を行います。花鳥風月などをモチーフにした優美な図柄が多く、手描き友禅と型友禅があります。

    京都の型友禅を京小紋とよびますが、型紙を用いて染める小紋のことです。色の数だけ型紙が必要なのでたくさんの型紙を使うものがあります。型紙には樹脂製のシルクスクリーンも使われています。型友禅も蒸しの工程は必要です。
  3 加賀友禅
    加賀友禅の基調となる「加賀五彩」と呼ばれる色は、藍、黄土、臙脂、緑、古代紫です。

    染めの特徴として木の葉などの文様に墨色の点で描く「虫喰い葉」(「虫喰い」)や外から中へ色を薄くする「先ぼかし」があります。また職人が一人で全工程を行います。

    製作工程の蒸しは、染料を生地に定着させるために行う作業です。

  4 東京手描き友禅

    東京で染められている友禅染です。渋く抑えた色調や、粋やモダンさのある意匠が特徴です。多くは一貫作業で行われています。

  5 十日町友禅

    新潟県十日町で作られている友禅染です。若手の職人が多く現代風の絵柄が多いのが特徴です。

  6 京友禅ができるまで

    下絵(したえ) 白生地に青花できものの模様を描きます。青花は露草の一種である大帽子花から汁を取り和紙にしみ込ませて乾燥させたもので、使用する時にはこの和紙をちぎって皿に入れ、少量の水で戻すと色が得られます。青花で描いた下絵は水で洗うと消えます。

    糸目置(いとめおき) 生地に描かれた下絵の線の上に、細い筒に入れた糊を絞り出し模様の輪郭を描いて、染料が混ざらないようにします。白生地の上でも見やすいように、糸目糊には赤や青などの色をつけてあります。糸目糊を置くときは下絵の微妙なゆがみなどを修正しながら作業します。青花や糸目糊を使わずに、模様を直接生地に描いていく技法は無線友禅といい、模様の外側を糊で防染して染める方法を堰出し友禅といいます。

    糊伏せ(のりぶせ) 模様を防染します。

    蒔糊(まきのり)、撒き糊 糯米に米糠と塩、亜鉛末を混合し練り上げ、炊きあげた糊を竹の皮の滑りやすい裏の部分に塗り、2~3mmの厚さにして乾燥させます。次に乾燥した皮から剥がし細かく砕き、ふるいで大きさを揃えます。これを濡れた生地に散布し定着したら、地入れをし地入れを染めます。

    引き染 刷毛できものの地色を染めます。地染(じぞめ)ともいいます。

    蒸し 色を定着させるため、蒸気にあてます。

    水元(みずもと) 生地についた糊や余分な染料を落とします。

    地入れ 生地に豆汁(ごじゅう)と呼ばれる大豆の汁を引きます。

    挿し彩色(色挿し) 糸目糊で引かれた輪郭の中に、刷毛や筆を使って一色ずつ色をつけます。色挿しともいいます。最初は胡粉の白から始め、続いて淡い色から濃い色へと挿していきます。

    蒸し 色を定着させるため、蒸気にあてます。

    水元(みずもと) 良質な水をたっぷり使って余分な染料や糊を洗い流します。友禅流しはこの工程になります。

    湯のし 反物の丈や幅を整えます。

    金彩 金箔や銀箔を使用して模様をつけます。

    地直し(じなおし) 染めむらや汚れを直す補正作業です。

 
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